このページでは金子みすゞさんの

本日の詩をご紹介しています。

 

「きょうのみすゞさんの詩は・・・」

 

「蝉しぐれ」です。

 

お汽車の窓の

 

蝉しぐれ。

 

ひとりの旅の

 

夕ぐれに、

 

眼(まなこ)とぢれば

 

眼のなかに、

 

金とみどりの

 

百合が咲き、

 

眼ひらけば

 

窓のそと、

 

名知らぬ山は

 

夕燒けで、

 

すぎて

 

また來る

 

蝉しぐれ。

 

 

(蝉しぐれ:金子みすゞ)

 

『金子みすゞ全集』

(JULA出版局)より

 

 

蝉しぐれとはあの鳴き声が時雨の降るがごとく

 

切れ間なく続く様をいうわけですが、

 

単語ひとつで多くを語る、

 

これはすぐれた言い回しだなあと思います。

 

汽車の音にも負けない蝉の大合唱なんですね。

 

鈴木 澪

 

 

汽車の窓、昔は空いてましたから

 

(今は開かないのが多い)、

 

音も匂いも風もみんな車内に入ってきます。

 

ミーン、ジーと大合唱、

 

山が来るたび大合唱はいいですね。

 

大西 進