このページでは金子みすゞさんの

本日の詩をご紹介しています。

 

「きょうのみすゞさんの詩は・・・」

 

「月と雲」です。

   

空の野原の

 

まん中で

 

ぱつたり出あつた

 

月と雲。

 

雲はいそぎで

 

よけられぬ、

 

月もいそぎで

 

とまられぬ。

 

ちょいとごめんと

 

雲のうへ、

 

すましてすたこら

 

お月さん。

 

あたま蹈まれた

 

雲たちも

 

平氣のへいざで

 

             えつさつさ。            

 

 

(月と雲:金子みすゞ)

 

『金子みすゞ全集』

JULA出版局)より

                             

 

こんな光景はよく見ますが、

 

月と雲のそれぞれの事情がわかると、

 

空を見る楽しさが増してきます。

 

空を仰いで考えるみすゞさん

 

の頭の中は不思議さがいっぱいです。

 

鈴木 澪

 

 

みすゞさんは昼の空は海のよう

 

と書き、夜の空はこうして

 

野原にしてお話しをつくります。

 

「舞台」をつくること、

 

かききることにいつも

 

感心してしまいます。

 

この詩はあとで「忙しい空」と

 

いうすてきな詩になる基の詩です。

 

 

大西 進