このページでは金子みすゞさんの

本日の詩をご紹介しています。

 

「きょうのみすゞさんの詩は・・・」

 

「つつじ」です。

 

小山のうへに

 

ひとりゐて

 

赤いつつじの

 

密を吸ふ

 

どこまで青い

 

春のそら

 

私は小さな

 

蟻かしら

 

甘いつつじの

 

密を吸ふ

 

私は黒い

 

蟻か知ら

 

 

(つつじ:金子みすゞ)

 

『金子みすゞ全集』

(JULA出版局)より

 

 

つつじがたくさん咲く小山に

 

たった一人でいると、

 

そしてつつじの甘い蜜の

 

かおりを嗅いでいると、

 

それを大空から見たならば、

 

きっと私はちっぽけな

 

アリのような存在に見えるにちがいない。

 

大きな宇宙から見たなら、

 

もうそれは人間もアリも区別などつかない

 

ちっぽけな存在でしかない。

 

鈴木 澪