このページでは金子みすゞさんの

本日の詩をご紹介しています。

 

「きょうのみすゞさんの詩は・・・」

 

「すかんぽ」です。

 

すかんぽ、すかんぽ

 

みいつけた。

 

豆の畑の畦(あぜ)道に。

 

遠いお里よ、あのころよ、

 

とうに忘れた、その味よ。

 

  ここは巨(おほ)きな都會(まち)の裏、

 

  一山越えた、段畑、

 

  ぼうと鳴るのは汽船(ふね)の笛、

 

  ごうとひびくは、なんの音。

 

すかんぽ、すかんぽ

 

噛みしめて、

 

空のはるかを見た時に、

 

なんの鳥やら、わたり鳥、

 

群れて、ちひさく行きました。

 

 

(すかんぽ:金子みすゞ)

 

『金子みすゞ全集』

(JULA出版局)より

 

 

子供の時、とって遊んだすかんぽ。

 

なつかしいです。

 

口にした時の思いがよみがえってきました。

 

とうに忘れてしまっていました。

 

鈴木 澪

 

 

ここは仙崎をはなれた下関。

 

いくつもの山が重なるその一つに生活

 

するみすゞさん。空のはるかをみつめます。

 

大西 進