このページでは金子みすゞさんの

本日の詩をご紹介しています。

 

「きょうのみすゞさんの詩は・・・」

 

「ちんがらこ」です。

 

 ちんが、ちんが、ちんがらこ。

 

切れた草履を手に提げて、

 

麥の中みちちんがらこ。

 

飛ぶとき遠くの川瀬がみえた、

 

あつちのあぜの、豆の花みえた。

 

麥も飛ぶたび飛ぶやうな。

 

みちの縁にはげんげ草、

 

菜種もこぼれて咲いてゐる。

 

右に花摘み、左に花摘み、

 

切れた片しが邪魔になる。

 

切れた草履が要るものか、

 

ぽんとはうつて、ちんがらこ。

 

ちんが、ちんが、ちんがらこ。

 

 

(ちんがらこ:金子みすゞ)

 

『金子みすゞ全集』

(JULA出版局)より

 

 

面白いタイトルです。

 

片足はだしでぞうりを手にさげている様子を

 

表わしているのだと思いますが、

 

ユーモラスな言葉です。

 

持っていた片方のぞうりをほうり出して

 

花を摘みたい無邪気な子どもの気持ちに

 

自分の昔が思い浮かびます。

 

鈴木 澪