このページでは金子みすゞさんの

本日の詩をご紹介しています。

 

「きょうのみすゞさんの詩は・・・」

 

「おねんねお舟」です。

  

島から來た舟、おつかれか、

 

入り江の波はやさしいに、

 

ゆつたり、ゆつたり、おねんねよ。

 

おさかな積んで、はるばると、

 

ひろい荒海こえて來た、

 

小さい舟よ、おねんねよ。

 

島に人たちもどるときや、

 

重いお米を買つてくる、

 

青い菜つぱを買つてくる。

 

島から來た舟、それまでは、

 

やさしい波にゆすられて、

 

ゆつたり、ゆつたり、おねんねよ。

 

 

(おねんねお舟:金子みすゞ) 

 

『金子みすゞ全集』

(JULA出版局)より

 

 

「おねんね」というやさしくて可愛い言葉を

 

舟に対して使っています。

 

誰に対しても何に対しても、

 

みすゞさんは優しく接します。

 

乗っていた人たちはその他の人たちから

 

「お疲れさん」と言われるのに舟は

 

誰にも言ってもらえず、

 

気の毒に思ったのでしょう。

 

鈴木 澪