このページでは金子みすゞさんの

本日の詩をご紹介しています。

 

「きょうのみすゞさんの詩は・・・」

 

「手品師の掌」です。

 

 

 桃からうまれる桃太郎さん、

 

瓜からうまれる瓜姫さん。

 

卵からうまれる鶏さん、

 

種からうまれる木のこども。

 

山からうまれるお日いさま、

 

海からうまれる雲の峯。

 

白いお鳩は手品師の、

 

お掌のなかからうまれてた。

 

私も、どこぞの手品師の、

 

お掌のなかからうまれたか。

 

 

(手品師の掌:金子みすゞ)

 

『金子みすゞ全集』

(JULA出版局)より

 

 

自分はいったいどこから産まれたのでしょう?

 

お母さんからというのは分かっています。

 

でも、もっとロマンティックに、

 

別の世界から生まれたことに

 

したいと思ったりします。

 

鈴木 澪