このページでは金子みすゞさんの

本日の詩をご紹介しています。

 

「きょうのみすゞさんの詩は・・・」

 

「鯨法會」です。

鯨法會は春のくれ、

 

海に飛魚採れるころ。

 

濱のお寺で鳴る鐘が、

 

ゆれて水面をわたるとき、

 

村の漁夫が羽織着て、

 

濱のお寺へいそぐとき、

 

沖で鯨の子がひとり、

 

その鳴る鐘をききながら、

 

死んだ父さま、母さまを、

 

こひし、こひしと泣いてます。

 

海のおもてを、鐘の音は、

 

海のどこまで、ひびくやら。

 

 

(鯨法會:金子みすゞ)

 

『金子みすゞ全集』

(JULA出版局)より

 

 

鯨の子供の心持ちがひしひしと

 

伝わってきます。今では、鯨は

 

もう捕らなくなったので、

 

このような詩はもう生まれませんね。

 

鈴木 澪

 

 

一度、仙崎に行ったとき3月の末で、

 

この法会をみました。この詩の通りで

 

静かな静かな春のくれでした。

 

この詩で印象にのこるのは、

 

とびうおをみるたびに思い出すことと、

 

とびうおをみて、あっ春だなって思うこと。

 

魚うりばでのことで、

 

実際にとんでいるのは昔一度だけみたっけ)

 

大西 進