このページでは金子みすゞさんの

本日の詩をご紹介しています。

 

「きょうのみすゞさんの詩は・・・」

 

「山ざくら」です。

 

 さくら、さくら、山ざくら、

 

私は髪に挿しました。

 

  山ひめさまになりました。

 

さくら、さくら、山ざくら、

 

その木の下に立ちました。

 

  山ひめさまは立ちました。

 

さくら、さくら、山ざくら、

 

舞つておみせ、といひました。

 

  山ひめさまがいひました。

 

さくら、さくら、山ざくら、

 

ひらりしやらりと舞ひました。

 

  山ひめさまにみせました。

 

さくら、さくら、山ざくら、

 

髪から、みんな散りました。

 

  駈け駈けかへる山みちで。

 

 

(山ざくら:金子みすゞ)

 

『金子みすゞ全集』

(JULA出版局)より

 

 

山ざくらと山ひめさまのやりとりが、

 

絵の様に目に浮かびます。

 

山ざくらの咲き誇る木の舞いは、

 

それはそれは美しいはず。

 

そして、最後の部分では、あっけなく

 

髪から散る様子がよーく感じとれます。

 

駈けて山みちを下っているのは、

 

あまり夢中になって時間を忘れ夕暮れが

 

近付いてしまったのでしょうか?

 

鈴木 澪

 

 

さくらをめでて心なごませる花見でなく、

 

私はさくらで山姫さんになります。

 

さくらに舞いをおねがいし、

 

さくらの花びらといっしょに夢も散りました。

 

空想の好きなみすゞさん、

 

曲にしていてもうれしくなりました。

 

大西 進